北視会


平成24年度事業報告書(案)
(自平成24年4月1日 至平成25年3月31日)


 第1  当面の課題への対応 
 平成24年3月31日に日本盲人福祉センターで開催された理事会及び評議員会で承認された事業計画に基づき、各加盟団体並びに各協議会の協力のもと、諸事業を積極的に推進し、ほぼ計画どおり実施することが出来た。
1.東日本大震災復興に向けて、東北3県4団体に役員を派遣し、現状を把握するとともにヒアリングを実施し、支援活動に努めた。また、団体並びに会員からの要望に基づき、義援金の配布や、放射能被害に苦しむ福島県の会員に向けておしゃべり線量計を配布した。
2.障害のある人の権利条約はすでに100カ国を超える国が締結しているが、わが国は2007年9月に条約への署名をしたものの、未だ締結には至っていない。締結に向けた国内法の整備として、障害者基本法が改正され、障害者虐待防止法が制定されたが、障害者の差別を禁止する法律は未だ実現していない。差別禁止法制が実現すれば、条約の締結にいたるものと思われる。
3.新たに専門委員会として、あはき問題戦略会議、将来ビジョン検討会、視覚障害者の福祉と医療の狭間における制度の在り方に関するプロジェクトを設置し、懸案事項の解決に向け活発な議論を展開することができた。
4.5月より情報部に大橋由昌部長が就任して、早々に手がけたのは、業務における個人情報保護の観点から、情報部のシステムバックアップ、部署内ネットワークを導入し、情報部におけるセキュリティ強化に着手した。インターネットの普及に伴い、ホームページのリニューアルにも努め、音楽や出演者の著作権を保護する観点から、ホームページ上で「日盲連声のひろば」の番組をストリーミング配信に切り替えた。
5.初の取り組みとしては、視覚障害者の加齢や病気による難聴を対象とした相談支援事業「聞こえにくさ相談会」を、東京都盲ろう者支援センターなどの協力を得て実施した。また、単独立法としての「情報・コミュニケーション法」の実現に向け、財団法人全日本ろうあ連盟・社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会・社会福祉法人全国盲ろう者協会とともに、情報コミュニケーション障害4団体の主催によるシンポジウムを開催した。
6.他施設との連絡・調整及び職員研修の充実を図るため、日本盲人社会福祉施設協議会の情報サービス部会に加盟し、より的確な情報入手と提供、さらには職員の専門性を高めるよう基盤作りに取り組んだ。
7.新たな取り組みとして、第46回総選挙における「音声コード付き拡大文字版選挙公報」を発行した。参議院選挙についてはすでに実施していたが、衆議院選挙の音声コード付き拡大文字版の発行は初。比例区は、22道県で約2500部、小選挙区は10道県で約2100部の情報を提供した。
 日本盲人福祉センターの諸事業については、次のとおりである。

 第2  事業報告の概要 
1.組織・団体活動の推進
  理事会・評議員会等の開催状況
本連合の運営にあたっては、次のとおり理事会及び評議員会を開催し、事業執行にあたった。また、理事会等の決議事項や対策の推進については総合企画審議会及びあはき協議会委員会において審議、実行に努めた。

(1)会議の開催
  @理事会の開催
   第1回 4月 1日(日)  日本盲人福祉センター
   第2回 4月25日(水)  日本盲人福祉センター
   第3回 6月 7日(木)  アパホテル&リゾート
                 <東京ベイ幕張>
   第4回 6月 7日(木)  アパホテル&リゾート
                 <東京ベイ幕張>
   第5回 6月26日(火)  日本盲人福祉センター
   第6回11月28日(水)  日本盲人福祉センター
   第7回 3月28日(木)  ホテルベルクラシック東京
   第8回 3月28日(木)  ホテルベルクラシック東京
  A評議員会の開催
   第1回 6月 7日(木)  アパホテル&リゾート
                 <東京ベイ幕張>
   第2回 3月28日(木)  ホテルベルクラシック東京
  B総合企画審議会の開催
   第1回 6月26日(火)  日本盲人福祉センター
   第2回11月28日(水)  日本盲人福祉センター
  Cあはき協議会委員会
   第1回 3月28日(木)  ホテルベルクラシック東京
  Dスポーツ協議会委員会
 (ア)代表者会議
第1回 6月 7日(木)  アパホテル&リゾート
                <東京ベイ幕張>
 (イ)常任委員会
第1回 6月 7日(木)  アパホテル&リゾート
                <東京ベイ幕張>
第2回 6月10日(日)  神奈川ライトハウス
第3回 8月26日(日)  神奈川ライトハウス
第4回10月28日(日)  神奈川ライトハウス
第5回 1月20日(日)  神奈川ライトハウス
第6回 3月17日(日)  日本盲人福祉センター
 (ウ)幹事会
第1回 3月17日(日)  日本盲人福祉センター
 (エ)国際交流事業
   パキスタンへスポーツ用具の提供
サイトワールド出展:視覚障害者スポーツ競技を紹介
  E青年協議会
 (ア)常任委員会
   第1回 4月 7日(土)  日本盲人福祉センター
   第2回 7月 1日(日)  日本盲人福祉センター
   第3回 9月21日(金)  神戸市立総合福祉センター
   第4回10月13日(土)  日本盲人福祉センター
   第5回 3月16日(土)  日本盲人福祉センター
 (イ)全国委員会
   第1回 4月 8日(日)  日本盲人福祉センター
   第2回 9月22日(土)  ANAクラウンプラザホテル
  F女性協議会委員会
 (ア)常任委員会
   第1回 6月27日(水)  日本盲人福祉センター
   第2回 8月29日(水)  リーガロイヤルホテル
   第3回 1月22日(火)  日本盲人福祉センター
   第4回 3月19日(火)  日本盲人福祉センター
 (イ)全国委員会
   第1回 8月29日(水)  リーガロイヤルホテル
   第2回 3月19日(火)  日本盲人福祉センター
 (ウ)全国代表者会議
   第1回 8月29日(水)  リーガロイヤルホテル
  G音楽家協議会委員会
 (ア)正副会長会議
   第1回 4月15日(日)  メルパルクホール大阪
   第2回 8月 6日(月)  メルパルクホール大阪
   第3回 3月12日(火)  神戸市総合福祉センター
 (イ)常任委員会会議
   第1回 8月 6日(月)  メルパルクホール大阪
   第2回 3月12日(火)  神戸市総合福祉センター
  H正副会長会議
第1回 4月25日(水)  日本盲人福祉センター
第2回 6月26日(火)  日本盲人福祉センター
第3回 8月 1日(水)  日本盲人福祉センター
第4回11月28日(水)  日本盲人福祉センター
第5回 2月27日(水)  日本盲人福祉センター
第6回 3月28日(木)  ホテルベルクラシック東京

(2)専門委員会の設置
 @あはき問題戦略会議
  6月に開催した全国盲人福祉大会においてあはきプロジェクトがまとめた報告書を発表した。更にその報告書に書かれた無資格者、無免許対策や、柔道整復師による違法な保険取扱の強化など問題解決に向けて取り組むために、8月にあはき問題戦略会議を設置した。報告書の内容の具体化に向けて取り組むため、外部委員も交えて議論を重ねた。
 A視覚障害者の福祉と医療の狭間における制度のあり方に関するプロジェクト
  本連合では女性協議会を中心に30年以上要望し続けている入通院時の介助と安全確保の制度化を求めるため、プロジェクトを設置した。看護や福祉制度に関する学識経験者を交え、議論を重ね、視覚障害当事者と病院に対して、入通院時におけるヘルパー利用に関するアンケート調査を実施し、問題解決に向けて積極的に取り組んだ。
 B将来ビジョン検討会
  視覚障害者が希望を持ち、安心安全な社会を実現することを目的に将来ビジョン検討会を設置した。視覚障害者福祉のあり方を検討し、10年、20年先の目標を明らかにし、幅広い意見を取り入れ、本連合としての総合プランを策定するために議論を重ねた。

(3)組織団体に対する連絡、助成
   全国都道府県並びに政令指定都市の視覚障害者団体に対し、墨字、点字、メール、文書による情報提供を行うとともに、研修会等に役員を派遣し、指導助言を行った。

(4)移動支援・同行援護事業について
 @視覚障害者移動支援事業従事者の資質向上の事業
  平成20年度より4年間の事業として、厚生労働省の「障害者自立支援対策臨時特例交付金」を活用し、視覚障害者移動支援事業従事者の資質向上事業を実施した。いずれも4日間のスケジュールで一般研修14回、当事者研修1回を開催し、受講者は24年度新規受講者213名、再受講者31名、当事者22名であった。
 A同行援護110番の設置
  同行援護事業が始まりさまざまな問題が生じていることから、その解決を図るため「同行援護110番」を本連合事業部内に設置し、利用者からの質問だけでなく自治体の担当者からの質問をも受け、それぞれ対応した。
  質問件数は年間141件であった。
 B移動時に視覚障害者が必要とする情報に関する調査事業
  平成23年10月に同行援護事業がスタートし、視覚障害者が外出時においてガイドヘルパーによって情報支援を受けられるようになった。視覚障害者が外出時に必要となる情報支援のあり方、とりわけ安心安全な外出に必要となる情報とは何かを調査するため、視覚障害者が移動時にガイドヘルパーに求める情報と、ガイドヘルパーが同行時に提供している情報を把握するため、アンケートを実施した。その内容をまとめ、当事者の移動に必要な情報提供のあり方を報告書にし、外出時における安全と利便性の向上に努めた。

(5)バリアフリーについて
 @金融110番の設置
   団体事務局に設置されている金融110番に寄せられた代読・代筆を断られたケースを集計し、金融庁へ報告した。金融110番は平成22年8月26日に金融庁が監督指針を発表し設置され、2年以上が経過し、ようやく問い合わせ件数も落ち着いてきた。
   平成24年度の問い合わせ件数は32件であった。
 A公共交通機関に対する要望
   視覚障害者が安心して駅ホームを利用することができるように、可動式ホーム柵の設置や内方線付き誘導用ブロックの設置を国土交通省や関係機関へ要望した。
   また、可動式ホーム柵の点字標記については、柵の側面ではなく上部の触読しやすい位置に設置していただくよう要望した。

(6)第65回全国盲人福祉大会の開催
全国の視覚障害者が一堂に会し、視覚障害者が抱える諸問題について活発な討論を行った。全国代表者会議では、情報交換・意見交換を行ったうえで、切実な要望事項を採択し、最終日の大会では、平成24年度運動方針とともに、宣言・決議を全会一致で採択した。
その後に代表者会議で採択した要望事項を、厚生労働省をはじめとする11省庁、日本郵政株式会社などの関係機関に陳情し、その実現のための活動を展開した。
・期日 平成24年6月7日(木)〜9日(土)
・場所 アパホテル&リゾート<東京ベイ幕張>
・主催 社会福祉法人日本盲人会連合
公益社団法人千葉県視覚障害者福祉協会
千葉市視覚障害者協会

(7)各種研修大会、スポーツ大会等の開催
@第51回全国盲人音楽家福祉大会
  第50回全国盲人三曲演奏会
  期日:8月5日(日)〜6日(月)
  場所:メルパルクOSAKAホール
A第38回全国盲人文芸大会
  作品募集期間: 6月 1日〜7月31日
  寄せられた作品
  俳句:184句  川柳:158句
  短歌:147首  随想・随筆10編
B第58回全国盲青年研修大会
  期日:9月21日(金)〜23日(日)
  場所:神戸市立総合福祉センター
C第58回全国盲女性研修大会
  期日:8月29日(水)〜31日(金)
  場所:大阪市「リーガロイヤルホテル」
D第13回日本グランドソフトボール大会
  期日:9月15日(土)〜17日(月)
  場所:愛知県
E第9回全国視覚障害者卓球大会
  期日:9月16日(日)〜17日(月)
  場所:埼玉県
F第11回全日本視覚障害者ボウリング大会
  期日:9月22日(土)〜24日(日)
  場所:東京都
G第36回全国盲人将棋大会
  期日:11月10日(土)〜11日(日)
  場所:広島市心身障害者福祉センター
H第27回全日本視覚障害者柔道大会(後援)
  期日:11月25日(日)
  場所:東京都文京区(講道館)

2.日本盲人福祉センター事業の実施
(1)第2種社会福祉事業
 @全国視覚障害者団体に対する連絡及び助成事業の実施
   各加盟団体に情報提供のため、「点字日本」、「日盲連アワー」、「愛盲時報」等を編集、刊行し、その普及を図った。
Aブロック活動の強化
   各ブロックに担当理事を配し、情報交換、連携の強化に努めた。また、ブロックの大会、総会等には本連合正副会長等を派遣し連携強化を図った。
  ブロック大会は、次のとおり開催された。
  ■第49回全道視力障害者福祉研修大会
 10月7日(日)【札幌市】
  ■第52回東北盲人福祉大会
 11月11日(日)〜12日(月)【山形県】
  ■関東ブロック大会
 3月3日(日)〜4日(月)【茨城県】
  ■北信越ブロック会議
 2月16日(土)〜17日(日)【富山県】
  ■東海地区連絡協議会夏期研究集会
 7月8日(日)〜9日(月)【静岡県】
  ■近畿ブロック協議会委員会
第1回  6月15日(金)【奈良県】
第2回 11月16日(金)【京都府】
  ■第61回中国ブロック広島大会
  9月1日(土)〜9月2日(日)【広島県】
  ■四国ブロック研修会
 2月16日(土)〜17日(日)【高知県】
  ■第66回九州盲人福祉大会
 2月17日(日)〜18日(月)【福岡市】
B更生相談所の設置、経営
 (ア)更生相談事業
   厚生労働省委託による全国盲人生活相談事業を日本盲人福祉センターにおいて実施した。その主な内容は、病気・健康等家庭心配事相談144件、就学・就職相談72件、年金・社会保険相談84件、移動・旅行相談200件であった。一般相談は、毎日受け付けると共に、毎月1回視覚障害のある弁護士による「法律相談」を実施し、52件の相談があった。平成24年度に対応した相談件数は合計552件であった。
 (イ)総合相談
   総合相談日を10月と2月の2回実施した。相談は電話、来所、電子メール等で受け付け、法律、眼科医療、職業、生活等の各種相談を受け、専門家による助言・指導を無料で実施した。
眼科相談5件は順天堂医師、法律相談8件は本連合顧問弁護士、生活相談12件は本連合職員がそれぞれ担当し助言指導を行った。相談件数は合計25件であった。

C点字図書館の設置、運営
本連合点字図書館の特色の1つである医学書や利用者からの要望の多い小説等を中心に、蔵書の拡充に努めた。
 (ア)平成24年度新規受入図書分類別内訳
  点字図書 テープ図書 DAISY図書
分類 タイトル数 巻数 タイトル数 巻数 タイトル数 巻数
総記 2 7 1 5 3 3
哲学 11 31 3 15 4 4
歴史 3 12 2 9 13 13
社会科学 33 87 10 40 19 19
自然科学 14 68 6 39 12 12
工学 5 10 0 0 5 5
産業 1 3 0 0 2 2
芸術 2 2 1 3 7 7
語学 0 0 0 0 0 0
文学 57 162 15 87 48 48
雑誌 ― 63 ― 95 ― 86
計 128 445 38 293 113 199

(イ)点字・録音図書の充実
蔵書 貸出数
タイトル数 冊数 タイトル数 巻数
23年度 24年度 23年度 24年度 23年度 24年度 23年度 24年度
点字
図書 5554 5682 20457 20902 2159 2142 4839 5088
テープ
図書 4493 4531 45608 45901 15576 14450 25868 24203
デイジー
図書 3478 3591 3611 3810 18152 24908 18240 24957
CD
図書 34 34 34 34 53 79 53 83
(ウ)音訳ボランティア基礎講座(全16回)を開催し、新たに5名の音訳者を養成し、新規登録することができた。また、学習会等の開催により、点訳・音訳ボランティアのスキルアップを図った。
(エ)「図書館ニュース」の発行により、利用者への情報提供を行い、貸出数の増加に努めた。
(オ)視覚障害者情報提供ネットワーク「サピエ」への参加
全国視覚障害者情報提供施設協会の加盟団体の一員として、同協会が運営する「サピエ図書館」に参加し、以下の活動を行った。
・点字図書、テープ及びデイジー図書の書誌及び貸出情報を提供
・デイジー図書の音声データをオンラインで配信

D点字出版所の設置、運営
  点字出版所では、厚生労働省委託事業である点字「厚生」(奇数月、年6回発行)、「ワールド・ナウ」(11月・3月、年2回発行)、各自治体発行の広報、本連合発行の情報誌「点字日本」(毎月発行)、その他広範囲にわたり、点字版を作成、情報提供を行った。
23年度 24年度
製版枚数  (枚) 14,553 13,062
印刷枚数  (枚) 1,727,044 1,676,209
製  本
(冊) 広報 13,063 10,714
点字厚生 150,000 150,000
点字日本 2,239 2,182
その他 57,988 74,314
 特記する受託出版物は、以下のとおり。
(ア)行政関係
東日本大震災発生から1年を迎えたのを受け、厚生労働省委託・日本盲人福祉委員会経由により「災害時の視覚障害者支援者マニュアル」(全2巻)、「災害時の視覚障害者支援体制マニュアル」(〃)、「災害時の視覚障害者支援者/支援体制マニュアル参考資料」(〃)各100部を作成、日本盲人福祉委員会を通じ全国の点字図書館に配布した。また、平成22年ゆうちょ銀行より依頼を受け作成した、「商品・サービスのご案内」の加除版(25,000部、点字・墨字併記版)の制作依頼を受け、在京の点字出版施設と協同し作成にあたった。
 その他、地方自治体発行の「障害者福祉のしおり」・「障害者福祉計画」等や、関係団体から依頼を受け各種資料の点字版の作成を行った。
(イ)バリアフリー関係
 JR各社からの協力依頼を受け、各管内駅の点字運賃表(5駅、5面)、手摺り点字表示板を作成。また、新幹線車両内設備触知表示板、行き先案内板等の各種プレート等の点字板を作成した。
(ウ)関係団体からの委託
 日本盲人福祉委員会からの制作委託により、自由民主党広報誌「自由民主」点字版(年4回発行)を作成した。
 また、同会「視覚障害者選挙情報支援プロジェクト」(本連合点字出版所、日本盲人社会福祉施設協議会加盟の点字出版施設など25施設で構成)の中核施設として、昨年12月に行われた第46回衆議院議員選挙において、北海道、栃木県、三重県、熊本県を担当し、比例区・小選挙区・最高裁裁判官国民審査等の「選挙のお知らせ」全文点訳版の作成し配布を行い、視覚障害有権者の選挙権行使のための一助となるよう努めた。また、この選挙にあたり、都道府県選挙管理委員会に対し、視覚障害有権者の参政権を保障するため、選挙情報の普及に努めるよう積極的に働きかけた。
(2)公益事業
 @福祉一般に関する調査研究、改善普及、情報宣伝活動及び文化向上に関する事業
  情報誌「点字日本」(月刊)、「日盲連アワー」(月刊90分テープ及びデイジーCD誌)、「愛盲時報」(年4回発行、A4版拡大文字及び音声コード付)、厚生労働省委託「点字厚生」(隔月刊)、同「声の広報『厚生』」(隔月刊)、同「ワールド・ナウ〜行動する世界の視覚障害者達〜」(年2回、点字)等を発行し、情報提供に努めた。
 また、本連合のホームページを通じて、会員はもとより広く一般にも各種情報を提供。オンデマンド情報「日盲連声のひろば」では最近の話題や各協議会の活動紹介、役立つ情報などを声で提供した。また、以上の内容をカセットテープ版・デイジー版でも作成し、点字図書館から貸し出すことにより、広く情報提供に努めた。
毎日の情報提供としては、電子メールにより、視覚障害者関連の福祉情報1979本、あんまマッサージ指圧関連を含む職業関係情報221本、計2200本の情報を発信した。

 A業職域の拡大及び生業の安定のための調査研究、改善、普及並びに医療保険取扱い等
あはき協議会は、あん摩マッサージ指圧・はり・きゅうを業とする視覚障害者の職業的自立と生活安定を図る為、本連合の加盟団体や日マ会を含むあはき等法推進協議会と協力し、問題解決に努めた。また免許所持者の証としての「安心のマーク」の普及に努めた。
(ア)あはき無免許者・無資格違法類似業者対策
   厚生労働省、会計検査院、警察庁に、無免許・無資格業者の取締強化を陳情した。いくつかの県で無免許対策が進展したり、摘発がなされたものの、全国的な取締強化にまでは至らなかった。
また、鍼灸マッサージの日(8月9日)を中心に、全国一斉ビラ撒き運動を行なった。その時期、方法等は本連合加盟団体ごとの判断で実施された。
(イ)柔整師による健康保険の不正請求の是正を求める取組み
   健康保険における柔整師による振替請求などの不正行為が横行している実態を把握するために、会計検査院に対し、再度の実態調査とそれに基づく厚生労働省への勧告を申し入れるとともに、厚生労働省に対しては、会計検査院からの勧告に基づく是正措置を速やかに実行することを申し入れた。また、地方においては、国民健康保険や後期高齢者医療保険を所管する自治体に対し、柔整師による不正請求を防ぐための適正な審査を行うよう働きかけた。
(ウ)あはきの学術研修会の開催及び資質向上のための活動
日マ会との共催で、中央三療研修会及び各ブロック研修会を実施した。これは、公益財団法人東洋療法研修試験財団の指定生涯研修として位置づけられたものである。
(エ)あはき関係団体との連携及び情報交換
   あはき業全般については、あはき等法推進協議会及び鍼灸マッサージ保険推進協議会に参加し、無免許対策、保険取扱いの改善、養成施設問題などの問題解決に取り組んだ。他方、視覚障害あはき師の抱える課題を解決するため、視覚障害関係団体と連携し、あるいは本連合のあはき問題戦略会議において、問題解決に向けて取り組んだ。

B国内及び海外関係
(ア)関係団体との交流と代表者派遣
  次の会議に出席し、意見を述べた。
  厚生労働省、内閣府、総務省、国土交通省に設置された各種委員会、全国社会福祉協議会障害者団体連絡協議会、日本盲人福祉委員会、日本障害フォーラム(JDF)、高齢者・障害者雇用支援機構、日本視覚障害者柔道連盟、日本失明予防協会、あはき等法推進協議会、東洋療法研修試験財団、日本あん摩マッサージ指圧師会、筑波技術大学経営協議会等に代表者を派遣し、意見を述べた。
(イ)韓国盲人協会との交流
  本連合と韓国盲人協会(KBU)による第3回国際交流を1月17日(木)から20日(日)に京都で開催した。韓国からは14名が来日し、日本ライトハウスや大阪府立視覚支援学校、京都ライトハウスの船岡寮などを見学した。本連合及び京都府視覚障害者協会の会員との間で、情報交換を行うとともに、親睦を深めた。両国における障害者差別禁止法をめぐる状況についての意見交換を行ったほか、就労、スポーツ、女性などの分野における情報交換を行った。

Cその他の事業
   録音製作、盲人用具販売斡旋、盲人用機器の新規導入、点訳講習会開催などの活動を行った。
(ア)録音製作所
  厚生労働省委託の「声の広報『厚生』」(隔月発行、テープ版及びデイジーCD版)を発行するとともに、インターネット配信データも製作した。また、「厚生労働白書(平成24年版)」、「障害者白書(平成24年版)」の録音版(テープ版及びデイジーCD版)を発行し、視覚障害者団体、点字図書館等関係施設に配布した。
なお、カセットテープ版の資材が入手困難になってきている現状を踏まえ、関係機関及び施設等に対し、今後の情報提供メディアに関する現状を調査した。その結果は、平成25年度中に精査し、今後の方向性への資料とする。
その他、以下のような情報提供活動を行った。
 ・各自治体発行の広報誌(議会広報含む)の音声版(テープ版・デイジーCD版・一般CD版・ホームページ用データ版・SPコード版)の業務委託を受け、作成・配布した。
・「保健福祉関連冊子」や「生活情報冊子」などの各種行政資料の音声版(テープ版、デイジーCD版・一般CD版)の作成・配布を行った。
・企業等からの依頼により、パンフレットの音声版の作成や、駅や空港、施設などの音声案内の音源製作を行った。
 ・第46回衆議院議員総選挙の実施に伴い、日本盲人福祉委員会視覚障害者選挙情報支援プロジェクトの音声版制作部門において、比例代表東京ブロックのカセットテープ版マスターの制作と、神奈川県選挙管理委員会発注分の南関東ブロックのデイジー版コピー及び発送を行い、選挙公報の情報提供に努めた。
・初めての試みとして、DVD(タイ国における視覚障害者のためのセミナーの動画映像)に解説ナレーションを付ける作業を、日本盲人福祉委員会の依頼で行った。
・日盲連アワー(毎月発行、テープ版及びデイジーCD版)の製作・配布を行った。
・ホームページ掲載のオンデマンド音声情報「日盲連 声のひろば」(毎月初旬更新。視覚障害者の話題を広く取材し、当事者の生の声を紹介するもの)の製作を行い、ホームページ用データをはじめ、本連合点字図書館からの貸出し用として、テープ版、デイジーCD版の作成も行った。
なお、日常業務とともに、研修会や本連合各種関連事業への参加、応援・補助などを通じ、職員一人ひとりの組織構成員としての自覚や認識を高めることに努めた。
23年度 24年度
製作種数 53種 51種
マスター製作 1,166本 1,262本
コピー数 37,821本 35,470本

(イ)用具購買所<( )内は23年度>
厚生労働省委託業務として、日常生活用具80(83)品目、補装具142(127)品目、その他生活用具として248(255)品目、合計470(465)品目を展示、販売した。平成24年度取扱高は1億2,451万円(1億5,242万円)であった。
なお、本年度は、地上デジタル放送の運用開始に伴い開発要望の高かった視覚障害者用・地デジラジオの開発に協力し、製品化後は、全国に向けた啓発・普及に努め、その販売取り扱いを開始した。
視覚障害者の便宜をはかるため、全国盲人福祉大会をはじめ本連合の各組織が主催する大会、全国盲女性研修大会、関東ブロック大会、福祉施設や企業などが主催する展示会、平成24年11月1日から3日まで開催された第7回視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド2012」等に出展し、来場者に対して各種機器の情報提供と展示販売を行った。昨年に引き続き、本年度も、仙台市、福島県南相馬市及びいわき市の福祉団体からの要請により、被災地で開催された展示会にも出展販売を行った。
新しい取り組みとして、地元ユーザーを受講対象とした自治体主催の「日常生活用具及び給付申請について」の説明会に職員を講師として派遣した。さらに、取扱の難しい商品および使用訓練等を要する機器については、メーカーと共同で研修会を開催し、ユーザーの商品知識の向上をはかるとともに販路の拡大に努めた。また、視覚障害者用防災ベスト、簡易型屋内用点字タイル、自転車接近お知らせ器等の防災・安全のための商品や中途失明者・ロービジョン用の点字学習機・拡大文字付腕時計・携帯型拡大読書器新タイプ等を販売取り扱いし、新たな市場分野の拡大に努めた。

 (ウ)東京都からの委託により日本盲人福祉センター内に東京都ガイドセンターを設置し、都外から上京する視覚障害者の都内でのガイドを斡旋、紹介した。
年間派遣回数は133件、男性36件、女性97件であった。
  また、点訳及び音訳奉仕員指導者養成をはじめ、英語、触図、情報処理の専門点訳者の養成を行った。
  ■点訳及び音訳奉仕者の養成
実施回数 回数 養成した奉仕者
東京都委託
点訳奉仕員指導者養成講習会 1期
(通算31期) 延20回 9名 
東京都委託
専門点訳奉仕員養成講習会(英語) 〃 延10回 6名 
  〃   (触図) 〃 延10回 8名 
  〃   (コンピューター) 〃 延10回 4名 
東京都委託
音訳奉仕員指導者養成講習会 〃 延25回 11名 

(エ)点字ニュース即時提供事業
 厚生労働省の補助事業として、日刊点字新聞「点字JBニュース」を、土・日・祝日及び夏季・年末・年始を除く毎週月曜日から金曜日まで発信し、平成24年度は第5000号から第5237号まで238回発行した。
 1号の分量は、点字で10ページ(32マス×22行)、墨字で約3,500字。内容は、日本経済新聞社のオンラインデータベース「日経テレコン21」から提供される当日の新聞情報及び本連合が取材した福祉関係情報などで、1日当たり8本から15本の記事を掲載した。平成24年度の掲載記事は、2,789本で、そのうち本連合が提供する情報を含む福祉関係記事は603本だった。
 「点字ニュース即時提供システム」ホームページに登録された「点字JBニュース」は、全国55ヶ所の地域実施機関がダウンロードし、点字印刷して郵送、電話ナビゲーションシステムによる音声読み上げ、ホームページでの閲覧や電子メール配信などの方法で、地元の利用者に提供した。


トップページに戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送